土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

コウモリ傘

岡山県(2012.8)から。

私が小さい頃、傘のことを”コウモリ”と読んでいました。
コウモリは漢字で書くと「蝙蝠」ですから難しいですね。


昔、実家では夕方にコウモリが群れをなして飛んでいるのをみかけました。当時、気味悪かったことを覚えています。


文献に下記記述があり、納得しました。
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安政元年(1854)、アメリカの使節ペリーが軍艦七隻をひきい、神奈川に上陸した時の絵図に、洋傘を開いた形と閉じた形が描かれている。鯨(くじら)の骨八本が放射状に組まれ、その上に薄い絹が張られていて、その形が「色黒くして蝙蝠の如く見ゆ」と説明されている。洋傘を開くと、蝙蝠が翅(はね)をひろげた形に似ていて、早くもこの時から洋傘を蝙蝠傘と名づけていたのである。
安政七年(1860)一月、軍艦奉行木村喜毅(きむらよしたけ)や軍艦操練所教授勝安芳(かつやすよし・海舟)らがアメリカにむかった。かれらは、ニューヨークにおもむき、道を往き交う男女が、「皆蝙蝠傘を携ふ」と日記に記している。雨天の日だけではなく、日除けにも使っていたのである。
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また、同文献に携帯用折りたたみ傘が出回り始めた頃、本物のコウモリと勘違いした人の話が載っています。


確かに黒色で小型ですから、本物と間違えるのもわかります。


コウモリの言葉に哀愁を感じます。
<引用・参考文献>
吉村昭「事物はじまりの物語」pp.54-56,58,ちくまプリマー新書

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