土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

建物の種類(登記)

 

写真は長野市山間部から。昔、ホームページに掲載していたものです。

1階店舗、2階居宅として利用されている登記上の建物の種類は?


 1階店舗(100㎡)、2階居宅(50㎡)として利用されている場合の建物種類(不動産登記法)の記載は、不動産登記規則第113条2項から「店舗・居宅」となります。これが1階居宅、2階店舗でしたら通常「居宅・店舗」に。ちなみに・(なかてん)は”兼”の意味です。
 順番はどうでもいいように思えますが、昔、土地家屋調査士の方から”金融機関(旧住宅金融公庫)の融資に支障があった”と聞きました。おそらくどちらが先になるかで融資額や融資基準に影響を及ぼしたのでしょう。
 それに住宅ローン控除にも影響がありますから、どちらが先に表示してあるかは重要な意味を持ちます。
住宅借入金等特別控除の適用要件(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm


 実務上、難しいのは「居宅・車庫」の場合。地方の住宅には、車庫の併設されていることが多いからです。
 文献では「1棟の建物の中に、居宅部分のほかに車庫、倉庫又は物置等がある場合において、車庫等の床面積が居宅部分の床面積に比べて極めて少ないときは、建物の種類を「居宅」とのみ表示しても差し支えないものと考える。」(登記研究351号95項・登記研究409号85項)
 それに「居宅・車庫」の場合、車庫を鉄筋コンクリート造にすると固定資産評価額や登録免許税が高くなります。
平成30年4月1日改訂の新築建物課税標準価格認定基準表 一覧
http://bell-com.biz/shiho-ninteikijun/


 では、1階店舗、2階~5階居宅の場合はどうでしょうか。
同文献は
「建物全体について床面積の占める割合又は利用価値の高い順に表示するのが相当であると考える。」としています。
 ということは「店舗・居宅」「居宅・店舗」のどちらもありうるかもしれません。


<引用文献>
中村隆・中込敏久監修・荒堀稔穂編集代表「Q&A表示に関する登記の実務」228p,229p,日本加除出版(株)

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