土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

マッチ2

飯山市から。
撮影当時(2009.8)、飯山市でもタバコの葉を栽培していました。

吉村昭氏のマッチに関するエッセイ(史実を追う旅)を読んでいたら下記記述がありました。
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江戸時代には日本にマッチはなく、燧石(ひうちいし)をたたいて火を起していた。すでに欧米では物にこすりつけて発火する蝋(ろう)マッチが普及していて、「南蛮寺興廃記」に「(伴天連・バテレン)普留考務(フルカム)は・・・・・馬上に在(あり)て・・・・・己が爪より火を出して多葉粉を吸ひ・・・・・」という記述がみられる。
日本に来ていたオランダの商館長が、馬に乗って行く折に靴底でこすった蝋マッチで煙草に火をつけたのを、あたかも指先の爪から火が出たように思ったのである。
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「たばこ」の漢字は「多葉粉」だったのには少し驚きました。
また、伴天連(バテレン・破天連)は広辞苑(電子辞書)によると「キリスト教が日本に伝来した時、宣教に従事した司祭の称号」だそうです。これも知りませんでした。時代劇でバテレンという言葉は聞いていましたが・・・。


また、同文献に下記記述があります。文章が長いので私が要約しました。
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国産マッチが国内に普及した頃、マッチは不浄の物という説がひろく流れました。というのもマッテの原料になる燐は、牛、馬の骨から作り出しているので、そのようなもので灯明をともすことは、不浄だという理由からでした。当時、神棚や仏壇の灯明に燧石(ひうちいし)を使用しなければならないという声が多かったため、これに困ったマッチ業者は、マッチを入れる箱に、「清浄請合(保証)」、「神仏燈火用」などというラベルを貼ったそうです。
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「清浄請合(せいじょううけあい)」の表現が面白いですね。
言葉の組み合わせに工夫を感じました。
<引用・参考文献>
吉村昭「史実を追う旅」pp.155,157,文春文庫

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