土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

つつじ山

長野市豊野町の「つつじ山公園」から

ヤマツツジが約1万株あり、その規模は長野県の北信地区最大です。積雪地帯のため木が斜上しています。


140年前の明治時代前半(1884年)、鳥居川の山沿いにつつじ山の整備がされました。


文献(豊野町の民俗と地区誌)によると文豪田山花袋がつつじ山のようすを漢詩に詠んでいます。田山花袋は若い頃、漢詩文を雑誌に投稿していたこともあって漢詩が得意だったようです。
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明治七年から日影川谷つつじ山の整備が始まり、同十一年に完了し、十七年にはつつじ山花見会が創立された。(略)
明治二十年代、のちに自然主義小説家として知られる田山花袋(1871~1930)は、赤塩村の友人を三度訪問し、その間に川谷のつつじ山の評判を聞き知った。かれは、はしる川波ぶつかる石が響きあう鳥居川と、花が小道いっぱいに鮮やかに咲き満ちているつつじ山をつぎのように漢詩に詠んでいる。(略)
ほん ぱ げき せき ひびき せん せん
奔 波 激 石 響 潺 潺
てき ちよく はな ひらいて まん けい あざやかなり
躑  躅  花  開 滿 徑 鮮
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サイトで躑躅(てきちょく)の和名はツツジとわかりましたが漢詩は難しいですね。それでも後段は鮮やかに咲き満ちているようすが伝わります。


ちなみに鳥居川の名は、源流が戸隠神社の鳥居前を流れることから出たと言われています(長野県土地改良史)。


つつじ山公園の裏には陣場山があります。そこに物見石があり、上杉謙信が陣を張った際、この石の上をのぼって物見をしたといわれています。そのためでしょうか、遊歩道に謙信コースがありました。


明治時代に整備されたツツジ群に歴史を感じました。
<引用・参考文献>
「豊野町の民俗と地区誌 豊野町誌3」pp.358,371,204,平成10年
長野県土地改良史編集委員会「長野県土地改良史 第二巻 土地改良区誌編」p.719,平成11年
<参考サイト>
田山花袋記念文学館
https://www.city.tatebayashi.gunma.jp/sp006/

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