土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

不動産広告4(車の所要時間)

高山村から。川底が赤いのは川の酸性が強いためで大昔から魚が1匹もいません。

リゾート地の不動産広告に
最近は
「〇〇駅より徒歩20分、車10分」「〇〇駅より1600m、車10分」のように所要時間が併記されている物件を多くみかけます。
逆に「〇〇駅より車10分」というような単独表示は少なくなりました。
車は1分間に何m進むという明確な基準がないからでしょう。


文献によると
自動車及び自転車の所要時間については、①「自動車による所要時間は、道路距離を明示して、走行に通常要する時間を表示すること。」(表示規約施行規則第10条第7号)及び②「自転車による所要時間は、道路距離を明示して、走行に通常要する時間を表示すること。」(同施行規則第10条第11号)」との規定が存在しますが、自動車及び自転車の所要時間についての具体的な算出基準は定められておりません。
そのため、これらの所要時間を算出する方法として、「距離・速度=時間」との計算式で表示してよいかとの質問がありますが、その道路の制限速度を用いるとしても、信号待ち等の道路事情を考慮しますと、実際の所要時間よりも早くなってしまうため、採用できません。
したがって、自動車及び自転車の所要時間を表示する場合は、実際に制限速度内で、しかも早朝や深夜等の通行量の少ない時間帯ではなく、日中の時間帯に走行した所要時間を表示することとなります。
以上、自動車又は自転車による所要時間を表示する場合は、「○○レジャー施設まで自動車で10分(○○㎞)」と道路足離を明示した上でその所要時間を併記することとなっていますが、道路距離のみを明示して所要時間を併記しない表示方法もあります(施行規則第10条第29号及び第31号)。


とあります。


実際、国土交通省の平成22年度道路交通センサス 一般交通量調査 集計結果整理表「昼間12時間平均旅行速度(km/h)」によると自動車の平均速度(一般国道)は県別、地域別、場所別に差のあることがわかります。
例えば一般国道計では、
長野県→商業地域(DID)23.4km/h,平地部39.7km/h,山地部46.4km/h,合計35.7km/h
東京都(特別区)→商業地域(DID)20.8km/h,平地部36.7km/h,合計21.3km/h
北海道全域→商業地域(DID)26.9km/h,平地部53.9km/h,山地部56.9km/h,合計45.1km/h
全国→商業地域(DID)24.1km/h,平地部43.6km/h,山地部50.7km/h,合計36.7km/h


地域によって自動車の平均速度が違うのですから物件の所要時間も違ってくるもわかります。それにしても東京都(特別区)の商業地域の平均速度がマラソンランナーの世界記録(20.8km/h)と同じのは面白いですね。


<引用・参考文献>
不動産公正取引協議会連合会 公正競争規約研究会「不動産広告の実務と規制[12訂版]」
p.279-280,(株)住宅新報出版,2018年
<参考サイト>
平成22年度道路交通センサス 一般交通量調査 集計結果整理表
https://www.mlit.go.jp/road/census/h22-1/data/pdf/syuukei05.pdf#search=%27%E8%BB%8A+%E5%B9%B3%E5%9D%87%E9%80%9F%E5%BA%A6%27
note(小池中人)
https://note.com/nakatorun/n/n156aa28a88dc

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