土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

歴史小説3(刃こぼれ)

飯綱町(2015.3)から

歴史小説が好きでよく読みました。最近は読まなくなりましたが・・・。
昔、文献「一刀斎忠臣蔵異聞」を読んで驚いた箇所があります。
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討入りのあとで、幕府から目付二名が実検役として吉良邸におもむいたが、その時の記録によると上野介の死骸には、五カ所の向う疵(きず)、一カ所の後(うし)ろ疵があり、刀(長サニ尺三寸)を握ったまま死んでいた。そんな上野介の刀に刃こぼれがあって、血がついていたそうだ。
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映画や時代劇の忠臣蔵では、炭小屋又は納屋に隠れていた吉良上野介を連れてくるシーンがあります。弱々しく、命乞いをする吉良、史実の上では全く逆のようにも思えます。


ちなみに向う疵は体の前面に受けた傷、後ろ疵は背中に受けた傷を指します。


上野介は、生前(1686年)、領国であった愛知県西尾市吉良町に私財を投じて黄金(こがね)堤を作っています。諸説ありますが、長さ180m堤脚4m高さ4mの堰堤だったようです。また、上野介の事跡は、この他にも雑田川の開拓、新田(白浜富好)の開発および製塩業(饗庭塩)の奨励があげられます。


同忠臣蔵では上野介の私利私欲が強く描かれていますが、実際は違うのかもしれません。
<引用・参考文献>
五味康祐「一刀斎忠臣蔵異聞」p.8,文春文庫
鈴木悦道「新版 吉良上野介」平成7年,中日新聞本社
<参考サイト>
西尾観光(一般社団法人西尾市観光協会)黄金堤
https://nishiokanko.com/list/shop/kogane/
吉良饗庭(あいば)塩の里
https://www.aibajio.jp/

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