土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

入歯師

信濃町(2016.3)から

文献(歯の神様)によると江戸時代後期、長野県佐久市や須坂市には入れ歯である木床(もくしょう)義歯を作る入歯師(いればし)がいました。義歯床はツゲで彫刻され、蝋石(ろうせき)や天然歯で作られた義歯が墓の発掘調査により出土しています。入歯師の中には道具を持って旅をしていた人もいたようです。


同文献に入歯師(p.89)について記述があります。
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江戸時代、入歯師がどんな商売をしていたのか、彼等の素姓を知る上に格好な史料がある。それは職人や商人がくばった引札という宣伝ビラである。江戸末期の引札をみると、入歯師は入れ歯を作るほか口中一切の治療もし、口中薬や他の薬も売っていたことがわかる。(『よはひ草』ライオン歯磨本舗)
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木床義歯は※香具師(やし)や根付師が作ったようです。当時、食彩師,傀儡師,鉄物師,読物師,合薬師,書物師,辻医師,小間物師,売薬師,煙草師,見世物などを十三香具師と称したそうです。


17世紀上期に入れ歯(脱着式)を作っていたことは日本の歯科技術が高かった証明でしょう。


今回、旧ホームページのブログを焼き直しました。
※改訂新版世界大百科事典によると香具師とは「祭礼,盛り場,縁日などで客を集めて商売をする露天商人。」をいいます。
<追記>
一部修正(江戸時代上期→江戸時代)しました。
<引用・参考文献>
神津文雄「民俗への旅 歯の神様」pp.80-92,1991年3月31日初版発行,銀河書房

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