土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

十王堂

茅野市(2021.1)から

各地を現地調査していると小さな堂社やほこらを数多く見かけます。
たとえば堂社は観音堂・十王堂・薬師堂であったり、ほこらは稲荷社・山の神などであったり。実際、野沢温泉村の共同浴場「十王堂の湯」が有名です。


観音堂や薬師堂の意味は知ってましたが、十王堂だけは不思議な名前だなと思っていました。


文献(飯山市誌)を読んでいたら下記説明がありました。
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庶民信仰は①村の鎮守や寺院②それぞれの場所に祀った小さな堂社③屋敷神というように重層的な信仰構造のうえに成りたっているのである。(略)
十王堂は十王思想から生まれた地獄の十王像が祀ってある。十王思想は死後三五日に裁きをつける閻魔大王の信仰が中心であり、生前に参詣することで死後の罪を軽くしてもらえると考えられていた。よく十王堂に大きなわらじが飾ってあるのは、村への悪霊の侵入を防ぐ意味をもつといわれ、民俗信仰としての広がりである。
薬師堂には万病を治して人の寿命を延ぽしてくれる薬師如来像が祀ってあり、病気平癒の願いが託されている。
観音堂には三三に変化して一切の衆生を救済するさまざまな観音像が祀ってあり、諸願成就の願いが託されている。
山の神は山の入口や山道の分かれ道に祀った神で、仕事の安全を祈る願いが託されている。
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江戸時代に小さな堂社やほこら(祠)をまつった意味がわかりました。
<引用・参考文献>
飯山市誌編纂委員会「飯山市誌歴史編上」pp.798-799,平成5年

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