土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

三項道路

中野市(2007.11)から。10年に1回くらい電車に出会うことがあります。

調査をしていると建築基準法42条3項(三項道路)に指定されている道路を見かけることがあります。
三項道路は、幅員4m未満の二項道路について、土地の状況によりどうしても拡幅することが困難な場合に、特定行政庁(建築主事)が、建築審査会の同意を得て、幅員2.7m以上4m未満の道路を指定することができる制度です。
したがって、三項道路の指定にあたって、既に二項道路の指定のあることが前提であるほか、二項道路の後退が事実上困難といった事情を有する必要があります。


下記サイトに三項道路に指定する効果があげられています。
「三項道路を指定する主な効果は、これまで敷地規模の狭さや道路の端が擁壁やがけになっていることで、道路中心線からの2mの後退が事実上困難であり、そのために建物の建替えができず老朽化していた状況に対し、拡幅の幅を1.35m以上に緩和することで、建替えが可能な状況をつくりだすことにあります。」


平成15年建築基準法の改正や同16年に国土交通省の運用通知があり、三項道路の指定が広がった背景(緩和)があります。


実務上、市街地(長野市)の住宅密集地域にある行き止まり道路に指定がみられるようになりました。全国では耕地整理や区画整理などにより整備された中にある二項道路(京都市祇園町南側地区)、斜面市街地(長崎市)、漁村、伝統的建造物群保存地区などにも見られるようです。


二項道路の指定がある道路沿いは古い住宅が密集していることや準防火地域に指定されていることが多いので火災があったとき、消火活動に支障をきたします。三項道路指定によって道路後退(セットバック)幅を緩和して建て替えを促進することが期待されています。なお、自治体によっては三項道路の指定だけでは効果がないとして地区計画(街並み誘導型・防災街区整備)を併用していることがあります。


前に建築基準法第42条2項指定道路に接する、行き止まりの土地があり、道路後退幅が道路中心線ではなく、道路の端から4mなので驚いたことがあります。
<引用・参考サイト>
国土技術政策総合研究所 三項道路
https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0368pdf/ks0368016.pdf

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