土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

大田文(おおたぶみ)

麻績村(2013)から

地名に関する文献を読んでいると「〇〇田」という地名が多くみられます。
用水開発者の名前をつけたり(例:権兵衛田)、地形や地質の特徴を表したり(例:狭間田)することがあります。


文献(佐久地方の地名と語源)によると〇〇田には下記の説明があります。
神田=神社の所有田(佐久市)
油田(あぶらでん)=神社の灯明料に充てる田(佐久市)
諏訪田=諏訪神社持ちの田(佐久市)
井子田(いごた)=井子は用水の水守(佐久市)
面田=村を代表する一等地の水田地帯(小諸市)
籠田=周囲が囲まれた田(御代田町)
角田=隅(すみ)田で古代測量の基点(軽井沢町)


地名は諸説あって正確なことはわかりませんが、〇〇田は水田と深い関係がありそうです。


また、長野市や飯山市には「太田」という地名があります。私も前は太田と呼ばれる地域に住んでいました。


文献(新しなの地名考)に
「太田というのは田の美称で鎌倉時代には田の台帳を大田文といった。」
とあります。


鎌倉時代に田の土地台帳がありました。豊臣秀吉が検地をする時まで土地台帳はあるのかどうか疑問に思っていました。


文化庁の文化遺産オンラインサイトには「淡路国大田文〈貞応二年四月日/〉」の大田文の下記説明があります。
「大田文は鎌倉時代に作られたもので、一国ごとの田地の面積、領有関係などを記録した土地台帳であるが、中世を通じて一国平均役や御家人役などの課役賦課の原簿となった。」とあります。


現在、市町村には画地台帳や固定資産名寄帳、法務局には登記制度が整備されています。
いつの時代でも土地台帳は必要なのかもしれません。
<引用・参考文献>
市川武治「佐久地方の地名と語源」pp.58,103,150,162,172,184,194,郷戸出版社
信濃毎日新聞社編「新しなの地名考」p.110,昭和50年
<引用・参考サイト>
文化遺産オンライン(文化庁)
淡路国大田文〈貞応二年四月日/〉 あわじのくにおおたぶみ
https://bunka.nii.ac.jp/
大町市(2013)から

×

非ログインユーザーとして返信する