土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

献上品3(江戸時代)

須坂市(2018.4)から

前回の続き


上田市の大名(5万2千石)の献上品(括弧文献引用)は次のとおりです。
「参府献上は御太刀・錦二十把・金馬代・御暇拝領は巻物五である。
時献上は、正月三日御盃台文様松竹梅、同月干鯛、六月御薫袋(においぶくろ・麝香《じゃこう》などの香料を入れた袋)、九~十月大和柿、十月御鷹①②(①(略)②は糸巻きの意味なので、鷹を繋ぐ紐の巻き道具であろうか?)、在着脚礼二種一荷、寒中雉子、五年目駒(略)
雉(きじ)の献上がしぽしばあるが、雉の肉の塩焼きに熱燗の酒を注いだものを雉酒と言い、元旦の供御(くご・天皇のお食事)に供えた。美味であったので、これにならって豆腐を二寸四方、厚さ五分に切って焼き、薄醤油で味を付け、酒を沸かして注いだものを雉焼きと言った。酒だけを飲んで豆腐は食わなかったという。(略)これほどに賞味された雉なので献上品に選ばれたのである。
雉打って帰る家路の日は高し
蕪村
(略)貴重な雉を仕留めた猟師の得意な様子が見えるようだ。」


雉料理は食べた記憶がありませんが、雉酒はふぐのヒレ酒に何か似ていますね。


須坂市の大名(1万53石余)の献上品(括弧文献引用)は次のとおりです。
「参府献上蟻燭一箱・銀馬代、御暇拝領巻物二。時献上は在着御礼干鯛、十月杏仁(きょうにん・アンズの種を干したもので、咳と痰の薬)。
蝋燭が献上されるが、これは当時貴重品であった。元治元年(一八六四)十二匁蠣燭が一丁銀五分(六百円)と『串本町史』にある。


江戸時代、ロウソクは貴重品だったようです。
長野県の大名は干した海産物を献上していたのは意外でした。
ほかに飯田市の大名(1万7千石)の献上品(時献上)に岩茸(いわたけ・深山に産する。干して食用とする)があり、長野県らしいと思いました。
<引用・参考文献>
翠川渡「信州諸大名の献上品」pp.26-27(長野第246号)長野市郷土史研究会,平成18年

×

非ログインユーザーとして返信する