土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

献上品2(江戸時代)

山ノ内町(2021.4)から

前回の続き


飯山市の大名(2万石)の献上品(括弧文献引用)は次のとおりです。
「以下、武鑑掲載順を追って解説する。(略)
年始八朔御太刀…(略)
時献上は、正月三日御盃台。これは盃を載せて客に薦める台である。(略)
五月串海鼠(いりこ・干しなまこ)。在着御礼一種一荷。十月塩蕨。同月芽独活(うど)。(ウドの芽は春のものだが十月献上とあるのは不審、あるいは乾しウドの誤か)」


串海鼠は腸を取り除いた海鼠(なまこ)をゆでてくしにさし、干したもの(広辞苑)です。
今まで農産物売場などで乾しウドを見たことがなかったので知りませんでした。保存食の
ほか薬草のサイトにも紹介されていましたから昔からあるようです。


松本市の大名(6万石)の献上品(括弧文献引用)は次のとおりです。
「参府献上は、巻物五、金馬代、御暇拝領は巻物五、御馬となっている。
時献上は、正月三日御盃台、三月塩雉子、暑中葛、在着御礼一種一荷、六月巣鷹(鷹の雛、
これを養育して鷹狩に用いた)、七月塩蕨、九月栗、十月網懸(あみかけ)鷹(網で捕らえた
鷹)、寒中雉子、四五年の内駒(四、五年に一回でよいから駒を献上せよとのことか?)(略)
巣鷹の発見者には領主からの金品の褒美が下されたという。鷹狩りが盛況であったせいで
あろうか。」


塩ワラビは献上品にするくらいですから上等のものだったのでしょう。
鷹は江戸時代でも貴重だったようです。
キジ(雉子)は日本の国鳥ですが、あまり馴染みのない感じがします。
私が高校生の頃、実家の庭に出たら大きなキジがいたので驚いたことがあります。
<引用・参考文献>
翠川渡「信州諸大名の献上品」pp.24-25(長野第246号)長野市郷土史研究会,平成18年

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