土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

鉱泉地の枯渇

安曇野市(2009.4)から。
廃線跡は遊歩道として整備されています。

昔、鉱泉地(源泉)に係る相談を受けたことがありました。
固定資産税評価の鉱泉地とは文献(固定資産評価基準解説)に下記説明があります。
「1 鉱泉地の意義
鉱泉地とは、「鉱泉(温泉を含む。)の湧出口及びその維持に必要な土地」(不動産登記事務取扱手続準則第68条第7号)をいう。ここでいう鉱泉とは、原則として、温泉法第2条の「温泉」と定義を同じくするものである。すなわち、温泉法第2条によると、温泉とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で温度摂氏25度以上、又は特定の種類の物質の含有量が一定量以上であるものとされている。」


鉱泉地の面積は10㎡未満(例:3.62㎡)であることが多く、固定資産税評価額は宅地よりはるかに高いのが特徴です。


鉱泉地は枯渇(こかつ)することがあります。昔、枯渇したという鉱泉地を見に行ったら少し流れていたので驚いたことがあります。言葉のイメージから湯量が全くないことを想像していました。


ここでいう枯渇は湧出量が減少したため鉱泉を利用することができなくなった状態にある鉱泉地又は未利用の鉱泉地(当該鉱泉地に係る鉱泉を未だ利用していない状態にある鉱泉地)をいいます。


長野県の千曲市は桑原地区にある日帰り温泉施設「佐野川温泉竹林の湯」を湯量不足で当面休館すると発表(2022/12)しました。新聞記事によると源泉や設備の調査をしても原因は分からなかったそうです。


固定資産税評価上、枯渇した鉱泉地の評価は、下記のように求めます。
減価率は鉱泉地の状況(湧出量・温度等)によって決まるようになっていますが、枯渇しても土地自体に原野並みの価値はありますから100%減価はありえないと思います。
・枯渇した鉱泉地の評価=一般の鉱泉地として求めた価額×減価


<引用参考文献>
固定資産税税務研究会編「固定資産評価基準解説(土地篇)」p335,p346,一般財団法人地方財務協会,R3年版

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