土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

河川保全区域の範囲

栄村より

河川法54条3項では河川保全区域の範囲を河川区域の境界から原則50m以内と定めています。しかし、実務上18m以内(長野県)であることが多いと知り、18mという中途半端な数値に疑問に思ったことが昔ありました。


下記文献を読んで10間=18mであることを知り、納得したことがありました。


そういえば、今回のテーマは昔、ホームページのブログに記載していました。
文献(河川管理の実務)によると
「河川保全区域という言葉は,新法によって設けられたものですが,旧法時にもこれに類似したものとして"河川附近地"の制度がありました。旧法には,「此ノ法律ヲ以テ定メタルモノノ外尚河川附近ノ土地,家屋若ハ其ノ他ノ工作物二関シ河川ノ公利ヲ増進シ又ハ公害ヲ除却若ハ軽減スル為二必要ナル制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」(旧法略)とあって,この制限について「沿岸,沿堤及河川附近ノ土地ノ区域ハ都道府県知事之ヲ定メ建設大臣ノ定ムル方法ニ依リ之ヲ告示スヘシ」(旧,河川法施行規程(明治29年勅令第236号)略)とあって,その区域は都道府県知事がこれを定めることとなっていました。
 この規定では"沿岸,沿堤及び河川附近の土地"を定めることになっていますが,河川区域の指定のない堤外地については指定告示の必要はなくすべて河川附近地制限の規制を受けていました(旧,河川附近地制限令(明治33年勅令第300号)略)。
(略)
 旧法時,河川附近地は一般的に河川区域の境界から18m(10間)~20mが指定されていて,これが現在の河川保全区域として運用されています。この経過措置について留意しなければならないことは,必ずしも旧法時に指定されていた河川附近地の幅(20m等)がそのまま現在の河川保全区域としてみなされているわけではないことです。」


<引用・参考文献>
河川管理行政実務研究会「改訂2版 河川管理の実務」pp.220-221,(株)大成出版社,1999年

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