土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

算額

長野市信州新町の犀(さい)川より。

長野県の千曲川沿岸や大きな川付近の神社や寺には算額が数多く奉納されています。
昔、親戚の葬式の際、三角形の中に正方形がいくつできるかのような感じの算額が寺(村)に飾ってあったので驚いたことがありました。


算額とは数学の絵馬ですが、下記サイトによると「算額は,数学の問題が解けたことを神仏に感謝し,益々勉学に励むことを祈願して奉納されたと思われます。」とあります。
昔、下記文献(信州学大全)を読んで奉納の多い理由に納得したことがあります。


「沖積扇状地の扇央にある高田を除けば、いずれも千曲川の沖積地もつ所有者の共同地とし、一定期間毎に分割して耕作するのが地割慣行地である。なお水害によって、著しく川欠が生じた場合、臨時に残った農地を再分割する。逆に新たな河川の堆積で生まれた可耕地(起返)も分割の対象となった。このような土地制度を割替(割地〉制度と呼んでいるが、近世の初めから始められた。(略)
千曲川沿岸の割地を分割するに当たり、測量をして絵図をつくり、分割に当たって幾何学を利用するために、長野盆地の千曲川沿岸では和算が発達した。神社に献額された絵馬には、和算の問題と解答がよく描かれている。また一間一分(六〇〇分の一)の実測図がよく残されている。第二次世界大戦後まで地割慣行地の町村には、プロの測量士がいて、絵地図をつくつていたが、それを使って地割慣行地の割替が行なわれて港た。長野盆地の和算はエジプトの幾何学(gemetry)と同じく、川の氾濫にもとづく土地測量と地図作成の実学として発展したものである。」


川が氾濫すると土地の境界が不明となり、測量が必要となるため算額が発展したようです。


<引用文献>
市川健夫「信州学大全」pp.183-184,2004年,信濃毎日新聞社
<参考サイト>
和算の館
http://www.wasan.jp/

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