土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

南斜面

安曇野市から。昔、ホームページに掲載した写真です。

山の斜面は、統計上(がけ崩れの実態・国総研資料第1122号)、北斜面より南斜面のほうが崩れやすい傾向があります。


その点に関して、昔、文献を読んでいたら興味深い記述がありました。


「樹木がなくて笹地になっている南向き斜面では雪崩が生じて,雪による保護作用が働かなくなった斜面は冬の寒さにさらされ,凍結・融解作用に夏の豪雨が加わって表層崩壊が生じている。一方,森林に覆われた北向き斜面では雪が斜面を覆って冬の寒さから斜面を保護するために斜面は安定している。北向き斜面には森林が残り,乾燥した南向き斜面に森林がなくなったのは山火事が何度も生じた結果だ。」


文献筆者は北海道の山地の例を出して説明しています。雪が降らなくても北と南では乾燥の度合いが違うので同様のことが言えると思います。


たとえば北向き斜面の沢の水は冷たいことが多く、実際、長野市鬼無里地区には「冷沢」という地名があります。


不動産調査では山の斜面の向きも考慮する必要がありそうです。


都合(本の校閲)により11月はブログをお休みします。


<引用・参考文献>
池田宏「地形を見る目」p.84,古今書院,2001年

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