土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

地すべりの地割慣行2

小川村(2010.11)から。

長野市の芋井支所北方は、地すべり地帯にあり、地すべり防止区域に指定されています。周辺の土地利用として傾斜地に棚田が見られます。


下記文献を読んでいたら棚田の発達理由についての記述がありました。また、地すべり地の開発に関する示談書の写真(写6-5)が掲載されていて参考になりました。
------------
芋井鑪(たたら)村では安政3年(1856)、善光寺地震で山抜けとなった字木ほら沖(7石7升の田)の開発にあたって、次のような取決めを行っています(写6-5)。①復旧した木ほら沖を3口に割り、持高によって坪割にする。②田地について甲乙がある時には割り直しをする。河原の地割慣行と同様に、地すべり地帯である山間部でも同様の慣行が行われていたことがわかります。(略)
地すべりは恐ろしい災害ですが、すべった土地は一般には穏やかな斜面となり、土塊がよくかき混ぜられているので、通気性がよく、保水力にもすぐれ、作物に適した土壌になるといわれています。棚田はこのような場所に発達しました。こうした有望な耕地の公平を保つ仕組みが上記の地割慣行といえます。
(写6-5)地割規定など地すべり地の開発を定めた示談書(鑪区蔵)安政3年4月9日
------------
江戸時代、地すべり地帯にある棚田が発達した理由がわかりました。


論文によると地すべりの周期性が指摘されていますが、とても長い周期のようです。
<引用・参考文献>
第46回特別展「長野盆地の10万年一暮らしと環境のメッセージー」p.58,長野市立博物館,平成13年10月6日,ほおずき書籍株式会社
林 徳 燈・山口真一「地すべり地中の埋木の年代測定と地すべりの周期について」地すべりVol.7,No.3(通 巻 第23号)

×

非ログインユーザーとして返信する