土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

奥の院(奥社)

長野市戸隠(2011.4)から。季節はずれの写真ですが・・・。

文献(北アルプス大紀行)を読んでいたら下記記述に目が止まりました。
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「一 奥の院は奥山に鎮まる
名だたる社寺で、奥の院(奥宮・奥社)を持たないところはない、と言ってもいいほどだ。信州の地図を広げて山頂に(注1)鳥居の印があるのを拾ってみても、大変な数にのぼる。霊山として、あるいは信仰の山として仰がれてきた山々が、いかに多いかが知られるのである。諏訪の守屋山、安曇の有明山の例をあげるまでもなく、山体そのものを御神体とし、里に遥拝所があるのも数知れない。」
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戸隠神社には奥社がありますが、同神社特有のものと思っていました。


調べてみたら穂高神社(安曇野市・標高557m)の奥の院は、上高地の明神岳直下の明神池畔(標高1529m)にあります。諏訪大社上社の奥宮は守屋山山頂(同1651m)に、若一(にゃくいち)王子神社(大町市・同739m)の奥の院は蓮華岳山頂(同2799m)に石祠が鎮座しています


奥の院は何のためにあるのかについても同文献に説明がありました。
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「松本藩からの藩命もあって、穂高神社では雨乞い祈祷、(注2)蝗(いなご、ぶよ、毒蛇など)祈祷、地震祈祷がしばしば行われてきたが、もっとも多く、また、奥の院まで出向いてのものは雨乞い祈祷であった。神官は別火生活をして精進潔斎(神事や法会にたずさわる人が、酒食を慎み、沐浴などをして心身を清めること。)し、祈祷中も度々行水(略)をしたのだという。明治になると村役人による雨乞い祈祷のための奥の院登拝も急増している。」
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奥の院で雨乞い祈祷が多かったようです。
標高の高い所へ行ってやる行事だけに効き目がありそうな気がします。
(注1)文献では神社の鳥居図ですが漢字に替えて表記しています。
(注2)文献ではイナゴの旧字(2文字)ですが1文字に変えて表記しています。
<引用・参考文献>
責任編集 田中欣一「北アルプス大紀行」pp.95-104,,2008年,一草舎出版
<参考サイト>
穂高神社
http://www.hotakajinja.com/okumiya.html

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