土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

建蔽(けんぺい)率

長野市山間部から。

地方では第1種住居地域の建蔽率は60%に指定されている箇所が多く見られます。
一方、都会では80%に指定されていることがあります。


前に、文献を読んでいたら建蔽率が60%や80%に指定されている理由が記載してあり、感心したことがありました。


「②建ぺい率制限(建築基準法53条)
建ぺい率制限建築物の建築面積の敷地面積に対する割合)は、敷地内に一定の空地を確保することにより、日照、採光、通風等の環境を確保するとともに、火災等に対する防災上の安全性を確保することを目的として行われている。建ぺい率は、市街地建築物法の時代から、地域に応じて原則として60%から80%までの範囲で制限が行われており、現行法においても基本的にはこれを引き継ぎ、昭和45年に用途地域を8種類としたことと併せてほぼ現行の建ぺい率制限に近い内容に整理されている。」


市街地建築物法は大正8(1919)年に公布された日本で初の建築に関する法律ですが、その法律で60%から80%の範囲で規定されていました。


また、第1種・2種住居地域等の建蔽率上限や下限の説明もありました。


「C 第1種・第2種住居地域、準住居地域、準工業地域(50、60、80%)、工業地域(50、60%)
(1)略
(2)上限の80%は、広い幹線道路の沿道など、市街地環境保全上は敷地内に空地を確保する必要がなく、また、騒音に対する後背地の防音効果など、高建ぺい率が必要とされる場合があることから定めたものである。
(3)下限の50%は、高容積率が指定された場合の市街地環境を保全する必要性を踏まえ、一般的規制として過大な制限とならない限度として定めたものである。」


したがって、第1種住居地域で建蔽率が40%の指定はありえないことになります。
<引用・参考文献>
都市計画法制研究会編「よくわかる都市計画法 改訂版」pp.47-48,ぎょうせい

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