土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

「の」が入る古い土地地番

長野市戸隠(2017.7)から。写真を追加しました。

 文献(分筆登記の実務)に土地の地番について下記説明があります。
「地番は、元来、明治初年における地租改正事業の際に、課税漏れの土地を防止するため、地押調査を行ない、この際における調査役人の検査の足取りの順番を示したものであり、これが一筆の土地を課税台帳上で特定するために用いられ、また、(住居表示が実施された地域以外の地域においては)住所として利用されているものである。」


 この中で”調査役人の検査の足取りの順番を示したものであり”という箇所が面白いですね。ですから地番は連続していることが多いのでしょう。
 前に何かの文献に昼休みで中断すると休憩所まで行くので地番の付け方が変わるようなことが書かれていて納得したことを覚えています。


 土地台帳事務取扱要領第6条1項3号には参考になることが書かれています。
「3 あらたに土地台帳に登録すべき土地については、当該地番区域内における最終の地番を追い順次にその地番を定める。但し、その土地が当該地番区域内における最終地番の土地と隣接していないときは、隣接地の地番に符号を附してその地番を定める。この場合において、隣接地の地番であるときは、その本番の最終の符号を追い順次符号を定める。」
 ここを文献では「国有地の払下、廃川敷地、不用道路の処分又は公有水面の埋立等によってあらたに附番を附すべき土地が生じた場合には、(略)例えば、最終地番が20番で、あらたに地番を附すべき土地がこれに隣接しているときは、21番の番号を附し、最終地番の土地に隣接しないで10番の土地に隣接しているときは、その番号に枝番を附して10番の2とし、13番の2の土地に隣接しているときは、13番の3の番号を附する。」と説明しています。


 今でも土地地番に「の」が入っているのをみかけることがあります。
 例:長野市北尾張部842番の2
 これは842番を分筆して842番と842番の2にしたわけではないことがわかりますが古い規定を知らないと分筆と思ってしまいます。
 「の」が入った地番をみると地番の付け方に工夫した跡がうかがえます。
<引用文献>
表示登記研究会編「分筆登記の実務」p.50,社団法人民事法情報センター,平成6年
新谷正夫・川島一郎「改訂土地家屋台帳法解説」p.25,平成2年復刊版,テイハン


前回同様せっかく入力したので土地台帳事務取扱要領を掲げます。
「土地台帳事務取扱要領」(昭和29年6月30日民事甲第1321号民事局長通達)
第6 地番を定めるには、左の各号によらなければならない。
 一 地番は、他の土地の地番又は不動産登記法施行細則第四十八条の規定による土地の仮番号と重複しない番号をもって定める。
 二 あらたに土地台帳に登録すべき土地に不動産登記法施行細則第四十八条の規定による土地の仮番号があるときは、その仮番号をもって土地の地番とする。
 三 あらたに土地台帳に登録すべき土地については、当該地番区域内における最終の地番を追い順次にその地番を定める。但し、その土地が当該地番区域内における最終地番の土地と隣接していないときは、隣接地の地番に符号を附してその地番を定める。この場合において、隣接地の地番であるときは、その本番の最終の符号を追い順次符号を定める。
 四 分筆した土地については、分筆前の地番に符号を附して各筆の地番を定める。但し、本番に符号のある土地を分筆するときは、その一筆には従来の地番を存し、他の各筆には、本番の最終の符号を追い順次符号を附してその地番を定める。
 五 合筆した土地については、合筆前の首位の地番をもってその地番とする。但し、同一の本番の符号を有する土地の全部を合筆したときは、その符号を除き、本番のみをもって合筆した地番とする。
 六 前四号の場合において、特別の事情があるときは、適宜の地番を定めてさしつかえない。
 七 地番の符号には、一、二、三等の数字を用いる。
2 地番が著しく錯雑している地方において関係者全部の申し出があった場合には、その地番を変更してもさしつかえない。
3 従来の地番に数字でない符号を用いたもの又は符号に更に符号を付したものがある ときは、その土地について登録をする際に職権で訂正するものとする。
4 二筆以上の異なる土地に同一の地番が重複して定められているときは、職権で訂正することができる。

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