土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

準防火地域の拡大

白馬村(2010.10)から。

全国で準防火地域の指定が拡大(例:東大阪市・岸和田市等)しています。特に低層住宅が建ち並ぶ住宅地域に多い第1種低層住居専用地域にも指定される時代になりました。


2016年12月新潟県糸魚川市大規模火災(焼損棟数147棟(全焼120棟、半焼5棟、部分焼22棟))のように強風下で住宅密集地に火災が発生した場合、大規模な火災となる恐れがあります。同火災では、準防火地域仕様の防火措置を施した建物が延焼防止に役立った事例が報告されています。


糸魚川市の火災は、飛び火によって、同時多発的に延焼拡大しました。隣接していなくても火元から離れた所が火災に遭うので強風は恐ろしいと感じました。


実務上、準防火地域指定時に問題になるのは既存建物の扱いです。
準防火地域が指定されても既存建物は、そのまま使用することについては支障はありません。しかし、増改築を行う場合には増築部分のみならず、既存の建物にも準防火地域の構造制限に適合させる必要(例外:建築基準法第86条の7)があります。また、準防火地域内では、10 ㎡以内の増築についても建築確認申請が必要です。


これは準防火地域について、敷地単位ではなく建築物単位で考えていることが根底にあるのかもしれません。


近年に建てた住宅の外壁や屋根は、既に準防火地域の仕様(防火構造・不燃材料等)になっていることが多いのでいいのですが、窓は同地域の仕様になっていないことがあるので、網入れガラスにしたり、防火シャッターにしたりする必要があります。


各地の自治体では既存の建物を改修する場合に補助金制度を設けていることがあります。


地域によって中古建物を購入する場合、準防火地域の仕様かどうかを気にする時代になりました。
<参考サイト>
平成29年版 消防白書 総務省消防庁 特集2 糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/h29/topics2/46070.html
大和市 準防火地域の拡大に関する意見交換会
https://www.city.yamato.lg.jp/material/files/group/53/jyunbouka_paneru1.pdf

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