土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

「飛地」になっている土地

長野県麻績(おみ)村から。

飛地(とびち)になっている土地をたまに見かけることがあります。特に洪水で川の流れが変わったためか千曲川沿岸には数箇所みられます。
文献に
「4 飛地
 地租改正作業前の旧幕時代は,土地を対象として課税していたのではなく,農民を対象として課税していたものである。そこで,甲村の農民が乙村の土地を開墾すると,当該土地は甲村の所属となり,反対に乙村の農民が甲村の土地を開墾すると,当該土地は乙村の所属となった。この土地を「飛地」と呼んでいる。
 地租改正作業の際,両村の協議によりこの飛地をできるだけ整理したものの,土地の所有者が所有権を失うと誤解し,飛地の整理に応じない例もあり,結果的に了解が得られない場合は,そのまま飛地で残ることとなった。
 甲村内に存する乙村の飛地の付番方法は,甲村の地番としてふるのではなく,乙村内の各土地について付番した後,その最終地番の次の番号を甲村にある乙村の飛地に付番した(明8.5.30地租改正事務局議定「地租改正条例細目」第2条)。
 例えば,乙村の最終地番が500番の場合,甲村に存在する乙村の飛地の地番は501番となり,甲村の公図中501番の土地の部分については,空白となり,乙村の公図中501番の土地は離れた所に描画した。その結果,甲村の公図と乙村の公図を突き合わせなければ501番の土地の位置が分からない状態となった。この場合,甲村の公図中501番の土地の部分について,「乙村」とか「乙村領」と記載してある場合も見受けられる。」
とあります。


 前に公図を見ていた時、対象の地番が回りの土地と全然違うことに気づいたことがありました。これも小さな飛地だったのかもしれません。


<引用文献>
友次英樹「増補版 土地台帳の沿革と読み方」p.145-146,日本加除出版


大辞林 第三版の解説
とびち【飛び地・飛地】
①  他の区域内に離れて存在するが、行政上は主地域に属する土地。
②  江戸時代、城付きの領地に対し遠隔地に分散している知行地。飛び知。
③  江戸時代、親村と地続きでなく他村内にある土地。

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