土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

登記能力のある建物

信濃町から

先日、専門書を読んでいたら「登記能力のある建物」の下記設問記載がありました。


35 広い土地にある3.3平方メートルの物置を登記することの可否
問 面積が300平方メートルの宅地造成地の一部に、定着性、用途性のある3.3平方メートルの物置がある場合,この物置を主たる建i物として表題登記をすることができるか。


【答】登記能力のある建物とは認められないので,この物置は,建物として表題登記をすることができないものと考える。
【解説】
1 一般的に母屋と別棟となっている物置,便所,浴室,車庫等は主たる建物である母屋に従属する従物的附属建物とされている。そして,これらの建物は,母屋と同一の敷地又は近接した敷地に建てられていて,構造的にも母屋とは比較にならないほど小さく,母屋とは別棟であっても母屋の居住の効用を助けるために存在するものであるから,母屋の中に組み込まれている場合と同様に,母屋と一体となって利用され,取引されるのが通常である。したがって,この場合には,通常は,附属建物としてのみ存在するものであって,物置便所,浴室,車庫等だけで独立の1個の建物とみなされることはない。(略)
2  設問の物置は,わずかに3.3平方メートルという小規模のものであることを考慮すると,仮に,土地に堅固に定着されているとしても,建物と認めることについて疑問がある。むしろ,社会通念上,既成の物置を一時的に利用するために造成地に置いた,いわゆる仮設物とみるのが相当であるので,建物として表題登記をすることができないものと考える。


監修:中村隆,中込敏久 編集代表:荒堀稔穂「新版Q&A表示に関する登記の実務第4巻」p.86,日本加除出版(株)


昔、土地家屋調査士の方から「広い敷地に新築後相当期間経過したぼろぼろな状態の建物(事業所)があって登記能力のある建物ではない上申書をだしたことがある」と聞いたことがあります。


当時、登記能力があっても登記できない建物が世の中にあることを実感しました。

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