土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

地上権

写真は2007年に大阪市福島区にあるビルを写したもの。ビル内を道路が通っています。当時、将棋棋士の森信雄先生が主催する祝賀会に参加して、四段になったばかりの豊島将之先生(現在竜王・名人)に飛車落ちで指導対局を受けたことがいい思い出です。

地上権とは、他人の土地に工作物 (建物,橋,トンネルなど) や竹木 (植林の目的となるもの) を所有するため他人の土地を使用する権利をいいます。
地下や写真のように地表の一定空間に設定されることもあります。


実務上、建物所有を目的とした地上権が多いですが、鉄道(例:地下鉄・新幹線)、トンネル(例:地下水路・導水路・管水路)など地下埋設物所有を目的とした区分地上権もあります。
最近では、太陽光発電施設所有を目的とした地上権登記があるようです。


昔、分収造林契約に基づく地上権の設定された土地を評価したことがあります。
地上権者が公共機関、設定者が個人のケースでした。
    <地上権の内容>
     契 約 日:昭和〇年〇月〇日
     目    的:竹木所有
        存続期間:契約日から50年間
     造林による収益:地上権者55%,設定者45%
        設定者履行費用:造林地に対する公租公課,〇〇年次以降の森林保険料の45%
   
設定後、約30年後の調査でしたが、すでに山林は荒れ放題で設定時の林業環境とは大きく変わっていました。
設定した昭和40年代は、分収造林契約が盛んになった頃でしたから無理もありませんが、50年という長期の期間は環境を一変させる危険性を有していると実感しました。


今思えば、一生に一度あるかないかの種別の依頼だったのかもしれません。

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