土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

増築の真意

志賀高原(山ノ内町)の一沼(2011.10.6)より。

志賀高原で最初に見られる小池(深さ1m以内)のため地元の方は「一沼(いちぬま・標高1420m)」と呼ぶそうです(山ノ内町誌,S48年)。

役所で建築計画概要書の工事種別を閲覧しているとき、対象建物(登記上新築)が新築ではなく”増築”となっていて意外に思うことがあります。


これは既存建物がある敷地内に、別棟を建てるとその敷地について集団規定が適用され別棟は増築扱いになるからです。もちろん、既存建物に部屋を継ぎ足したり、平家建から2階建てにしたりすることも増築にあたります。


前に調査地にある既存建物が未登記であったり、附属建物のみ(母屋取り壊し)であったりする場合でも、新築した別棟(例:住宅)の建築計画概要書の工事種別は増築になっていたので驚いたことがあります。


古い文献では下記のように説明しています。
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既存建築物が存在する工場の敷地内に、用途上不可分の関係にある建築物を別棟で建築する場合、防火規定のように棟単位で適用される規定の適用については新築であり、建ぺい率の算定のように敷地単位で適用される規定の適用については増築であることになる。全く建築物の存在しない更地に建築する場合には、すべて新築となる。
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たとえば
対象地(第1種低層住居専用地域・敷地面積200㎡・準防火地域)の法定建蔽率が50%、既存建物の建築面積が80㎡(実効建蔽率40%)の敷地に、別棟で建物を建てる際、建蔽率制限が働き建築面積は20㎡以下(200×50%-80)にする必要があります。これは集団規制による効果です。


また、別棟の建物は準防火地域に対応した下記仕様のようにする必要もあります。戸建て住宅でも準防火地域に指定されると軒裏や外壁にも防火構造が求められたり、延焼のおそれのある部分に位置する窓や戸(開口部)に防火設備(網入りガラスなど)を使用することが求められたりします。これは単体規制による効果です。
・屋根:不燃材料等
・軒裏:防火構造
・外壁:防火構造
・開口部:防火設備


ちなみに新築は材料の新旧と関係がありませんから、古い材料で建てても新築になります。
<引用・参考文献>
高木任之「全訂 都市計画・建築法規のドッキング講座」pp.50-51,平成16年
<参考サイト>
大和市(準防火地域の拡大に関する意見交換会)
https://www.city.yamato.lg.jp/material/files/group/53/jyunbouka_paneru1.pdf

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