信州に疎開した文化人4
白馬村(2010.4.8撮影)から。


~前回の続き~
【女優・渡辺美佐子氏(当時12歳)の疎開先:長野市篠ノ井布施高田芝沢】
著書の中で、信州の郷土食「おやき」について触れている渡辺美佐子さんの言葉をご紹介します。
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他所者の私たちとどこか似通っていて、李さんたちもそうおもってくれたのか、時々さし入れを持って来てくれた。 "おやき"といって信州の人がよくつくる、残り物を利用したお茶うけで、蒸した薄い小麦粉の皮の中は、日によってかぼちゃの煮物だったり、味噌味のなすだったり。その一個か二個を黙って手渡してくれる、黒く汚れていた爪の女の子は、今どこでどう暮らしているのだろう?(略)渡辺美佐子「一人旅 ひとり芝居」
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確かに昔のおやきはお茶うけであり、具材も夕飯の残り物などを上手に利用していたように記憶しています。それが今や、我が家ではお店で買ってきた具だくさんのおやきを、立派な昼食としていただくようになりました。時にはおやつとして楽しむこともあります。
小学生の頃、友人の家に遊びに行くと、よくおやきを出してくれたものですが、当時の私にはあまり口に合わず、二つ目を遠慮した思い出があります。我が家で作る際も、具があんこの時は喜んで食べましたが、ナスの時は”いらない”でした。
また、私が「お腹が空いた」と言ったとき、父が生まれて初めて”味噌おにぎり”を握ってくれたことがありました。お世辞にも美味しいとは言えず、「まずいな……」と思いながらも我慢して食べたものです。
渡辺さんの文章を読み、そんな懐かしい一幕をふと思い出しました。
<引用・参考文献> 長野郷土史研究会 小林一郎編著「-戦後80年に振り返る-長野県に疎開した文化人」p.23、令和7年8月5日発行