古い地名(惣門)
青木村当郷字東日向にある大法寺(だいほうじ)三重塔(国宝に指定)から。
高さ18.3mあります。1920年の解体修理の時、発見された銘文により1333年(鎌倉時代末期)に建てられたことがわかりました。
この塔は、往古から道行く人が、見返り見返り旅をつづけたというので、"見返りの塔"という別名がつけられています。
手前に見える観音堂付近を散策していた時、独特の静寂さに驚きました。
本尊は善光寺本堂同様、桂の木からできていました。
文献(探訪・信州の小寺1及び長野県の地名)によると下記説明(引用)があります。
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大法寺は今は「一乗山大法寺」と呼ばれているが、古くは「大宝寺」という名であったことは、三重塔の解体修理に際して発見された墨書銘によって明らかである。この「大宝寺」という寺名は、大宝年間(七〇一-三)に創立されたことからつけられたといわれているが、この寺の前には東山道が通過していたことは間違いなく、その東山道が官道として開通したのは、大宝年間と比定されている(一志茂樹氏)ので、この大宝の年号をとって大宝寺と称したものとも想像される。
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そういえば「大宝律令」を小学生の頃、習いました。701年に作られた法律として。
また、この寺の南方周辺(字岡石)に東山道(とうさんどう)の駅(うまや)があったと推定されています。この当時の駅は馬が何匹もいたようです。
上記文献(探訪・信州の小寺1)では下記説明(引用)があります。
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東山道浦野駅(うらののうまや)の駅寺ではなかったかと推定される。いまも寺の南方に村方に本宿(もとじゅく)、惣(そう)門などの地名が残っているのは、駅(うまや)と寺との関係を示唆するものであろう。
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実際、青木村誌に附属する字境図によると今でも「惣門」の小字が残っています。
「本宿」の字は見当たりませんが・・・。
全国(下記サイト参照)に目を向けてみれば「惣門(そうもん)」の地名は、街道の出入口や陸運・舟運の要路があった地域を指すようです。実際、熊本県山鹿市や岩手県盛岡市に「惣門」という地名が残っています。
惣門(総門)は城の外郭の正門を指すことがありますが、歴史を感じる古い地名には間違いなさそうです。
<引用・参考文献>
「探訪・信州の小寺1(天台宗・真言宗)」,pp.148-149,1996年
「日本歴史地名体系20巻 長野県の地名」pp.219-220,1979年
「青木村誌 歴史編(上)附属地図の青木村字境図」
<参考サイト>
熊本県公式観光サイト(米米惣門ツアー)
https://kumamoto.guide/look/terakoya/127.html
エンジョイいわて
https://enjoyiwate.com/?page_id=2331


