囲み堤2
飯綱町(2015.3)から。前にも掲載した写真かもしれません。
洪水から命や財産を守るため、江戸時代の村人たちは、川除けの一種である「霞堤」(ブログの河川保全区域2参照)や「村囲堤」(集落の周辺に設けた土手)などの対策を講じてきました。
現在、洪水対策として千曲川沿いに遊水地が建設中(飯山市蓮・中野市上今井・千曲市など)です。遊水地とは堤防の一部を2~3m低く(越流堤)して増水時に川の水を水田などに一時的に貯めて、下流域の越水を防ぐ施設です。遊水地は場所にもよりますが普段、水田なので「田んぼダム」とも呼ばれます。
遊水地は集落との境に堤防(周囲堤=遊水地全体を囲う堤防)を造ります。周囲堤は現代版「村囲堤」でしょうか?
下記記述は難解かもしれませんが参考までに・・・。
昔、新潟県見附市にある刈谷田川沿いに整備された遊水地を見に行ったことがあります。遊水地である田に地役権が設定されていたので不思議に思い、住民の方から話を聴きました。その方は「堤防を低くした箇所(越流堤)から近い場所に水田を持っているため水が溜まりやすく被害に遭う回数が多い。」と嘆いていました。
遊水地の場所によっては、越流堤付近の土地に地役権を設定するのではなく、買収されるようですので被害が比較的少ないのかもしれません。
遊水地を登記する場合、遊水地が承役地、越流堤の敷地が要役地となります。その一般的な登記例を下記に示します。
<承役地登記(地目:田・所有者:個人)>
・登記の目的 地役権設定
・原 因 平成〇年〇月〇日設定
・目 的 1 越流堤の設置に起因する浸水及び冠水の認容
2 遊水地の機能の保全の妨げとなる工作物の設置その他行為の禁止
・範 囲 全部
・要 役 地 〇〇〇
<要役地登記(地目:堤・所有者 〇〇公共)>
・登記の目的 要役地地役権
・承 役 地 〇〇〇
・目 的 1 越流堤の設置に起因する浸水及び冠水の認容
2 遊水地の機能の保全の妨げとなる工作物の設置その他行為の禁止
・範 囲 全部
地役権の登記は土地所有者ごとに登記されますから、大規模な遊水地ともなると所有者が多いため何十、何百の登記がされるようです。
<参考サイト>
国土交通省 東北地方整備局 山形河川国道事務所
https://www.thr.mlit.go.jp/yamagata/river/enc/index.html
周囲堤や囲繞堤について上記サイトに下記説明があります。
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囲繞堤(いにょうてい・いぎょうてい)
河道内の遊水地を堤防で仕切って調節池とする場合、その仕切りに作る堤防のことをいい、その外側の本堤を周囲堤といいます。
