土地評価のブログ

不動産鑑定士の日々

地区計画3

小川村から

長野県須坂市の須坂長野東インターチェンジ付近において巨大な開発地(開発面積約22.96ha)の造成工事が進められています。そこには主な商業施設である「イオンモール須坂」が2024年春の開業を目指しています。新聞報道によると県下初のコストコが出店するような話がありましたが、だめになったようです。
須坂市
https://www.city.suzaka.nagano.jp/contents/event/event.php?id=16314#02


開発地は市街化調整区域ですが、地区計画が指定されています。昔は、市街化調整区域に地区計画は指定できませんでしたが現在は可能となっています。


地区計画の歴史に興味を持ち、簡単ですが文献を基に整理してみました。


地区計画は昭和55(1980)年に設けられました。当時の地区計画は市街化区域のみしか定められませんでしたが平成4年に市街化調整区域内でも定めることができることとされました。
さらに平成12年に市街化区域における地区計画の区域要件を廃止し、用途地域が定められている区域においては、線引き都市計画区域であるか、非線引き都市計画区域であるかを問わず、地区計画を定めることができることとされました。


下記年に応用型というべき地区計画が導入されました。
昭和55年沿道整備計画(H8改正で沿道地区計画に改称)
昭和62年集落地区計画
昭和63年再開発地区計画
平成2年住宅地高度利用地区計画及び用途別容積型地区計画
平成4年誘導容積型地区計画及び容積適正配分型地区計画
平成7年街並み誘導型地区計画
平成9年防災街区整備地区計画
平成20年歴史的風致維持向上地区計画
平成14年に、地区計画制度を整理・合理化するために、都市計画法等が改正され、①再開発地区計画及び住宅地高度利用地区計画の廃止並びに「再開発等促進区」の創設、②「高度利用型地区計画」の創設、③沿道地区計画及び防災街区整備地区計画への誘導容積型等の容積率等の特例制度の導入等がされた。さらに、建築基準法の改正により、地区計画等で定めた用途について、条例で用途地域の制限を緩和することができることとするとともに、地盤面の上にある通路等の地区施設を定めた場合に、当該地区施設下の建築物について、建ぺい率制限を緩和することができることとされた。また、平成18年には「開発整備促進区」の創設が、平成19年には防災街区整備地区計画への容積適正配分型の導入が行われた。


現地調査の際、地区計画は見逃しやすい規制なので注意が必要です。


<引用・参考文献>
都市計画法制研究会編著「よくわかる都市計画法改訂版」pp.96-97,ぎょうせい

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